ターンオーバーの乱れは遅れだけではない!?早まる原因は洗顔?
肌トラブルの大きな原因にターンオーバーの乱れが挙げられます。
加齢や日々のストレス、過労などでターンーオーバーが乱れていきますが、
その乱れは「遅れる」という印象が強いですよね。
しかし、実はただ「遅れる」だけでなく、「早まる」ことも原因のひとつだとご存知ですか?
ターンオーバーの乱れについて、詳しい現象と原因についてまとめました。
乱れを解決する方法を知ることで、肌質改善の一歩になります。
ターンオーバーとは表皮の剥がれ
ターンオーバーとは肌表層部の皮膚(表皮)が新陳代謝していくことを意味しています。
表皮は細胞が何層にもなって敷き詰められていて、一番下から細胞が新たに生まれては1層ずつ押し上げられ、一番上が代わりに剥がれ落ちる
という1連の流れを繰り返しています。
細胞が生まれてから、再表層にのぼっていくまでの過程を4段階の層に分類していて、それぞれ何層にも重なっています。
一番下の基底層が1層→有棘層(ゆうきょくそう)が5〜6層→顆粒層(かりゅうそう)が2〜3層→そして一番表側の角質層が十数層
このようにだんだんと上がっていきます。
表皮層の細胞を主にケラチノサイトと呼んでいます。
基底層から顆粒層までのケラチノサイトは核を持った生きた細胞です。
しかし、顆粒層のトップに来ると、核をなくして死んだ細胞に変わります。
そして、細胞は薄く萎んで表皮の表面に重なっていきます。これが表皮の角質層です。
角質層の一番表までのぼりつめ、外部環境の刺激に直接触れると寿命も終わり。
洗顔の時に一緒に剥がれ落ちるようにうまくできています。
(ちゃんと洗顔しないと角質がはがれずに溜まってしまうことにもなるのですが…)
基底層で新しい細胞が作られては、先輩の細胞が上に押し出されていき、一番上の角質層が剥がされます。
そして一番上の角質層が剥がされては、また基底層で新しい細胞が作られる、
この繰り返しを新陳代謝、つまりターンオーバーと呼んでいるのです。
顔の表皮の層は凡そ20〜数層。
基底層1層+有棘層5〜6層+顆粒層2〜3層+角質層10〜数層を全部足すと20〜数層になります。
角質が毎日の洗顔で1枚ずつはがれたとして、
一つの細胞が生まれてからはがれるまでの1連のターンオーバーを行う平均寿命は28日と言われています。
(ちなみに足や手の平の角質層は50層くらいあって分厚いので1連のターンオーバーはもっと時間がかかります)
しかし、顔の部分によっても角質層の数が違うので一概には言えません。
顔の部位別、角質層の数
目の周りの角質層…わずか5層程度
頬の一番高いところ…8〜10層
その他の部位…10〜15層
そのため、28日よりも早いところもあれば、遅いところもあるわけです。
とはいえ、1層ずつはがれる速度はどの部位でも基本的には正常な速度があります。
速度は一緒、でも角質の層の枚数が違うためターンオーバーが一巡する時間が異なる、というわけです。
ターンオーバーの乱れは「遅れ」も「早まり」もある!?
しかし、ここで問題なのは、様々な要因によって、ターンオーバーの速度自体も変化が現れるということ。
よく肌トラブルというとターンオーバーが遅れているイメージがある方が多いと思いますが、
実際はターンオーバーが早まっているケースもあります。
外的要因や内的要因で遅れることもあれば、逆には早まってしまうこともあります。
ターンオーバーが遅れれば、古い角質が長く肌に滞留することになり、肌がくすんだり、
スキンケアの栄養が浸透しにくいといった悪影響を及ぼします。
一方でターンオーバーが早まれば未熟な細胞が表面に出てくることになり、
抵抗力が低くガサガサになったりダメージを受けやすくなってしまいます。
まずはターンオーバーが遅れる現象から先に見ていきましょう。
ターンオーバーが遅れるとどうなる?
ターンオーバーが遅れるということは、古い角質がずっと肌に残ってしまっているので、
古い角質がさらに古く衰得ていきます。
するとだんだん肌が固くなり。だんだん黒くくすんでいきます。
若い人の肌がふっくらもちもち柔らかいイメージだとすると、お年寄りに比較的多い固くごわついた肌がイメージです。
さらに、基底層〜顆粒層までのステップも遅くなるので、
例えば、基底層のメラノサイトで生成されたメラニン色素もずっと長く肌に滞留してしまうことになります。
紫外線ダメージを受けた細胞の回復も遅くなり、メラニンが沈着してシミの原因になってしまうのが、このターンオーバーの遅れのリスク。
ターンオーバーが遅れる原因
ターンオーバーが遅れるというのは、つまり、角質層に至るまでの基底層、有棘層、顆粒層が遅れてしまうことを意味します。
原因はいくつかあります。
睡眠不足
基底層や有棘層、顆粒層が特に働くのは寝ている間です。
シンデレラタイムと呼ばれる22〜26時(午後10時〜午前2時)が特に活発になる時間と言われています。
そのため、ターンオーバーを正常に動かすには睡眠が最低限必須です。
しかし、忙しかったり夜更かししたりして睡眠が足りないと、
ターンオーバーの時間も減るので徐々にターンオーバーがゆっくり鈍化していく原因になります。
加齢
これが最もオーソドックスな原因で、歳と共に細胞の働きも衰えていきます。
細胞の動きが遅くなるので自ずとターンオーバーも遅れていくのですが、
それ以上に細胞が成長する力も衰えていきます。
本来、一歩一歩成長しながら一層一層表面に押し上げられていくのが理想ですが、
代謝が遅く十分に育つ前に次の工程に進んでしまうため、
未熟なまま角化してしまうことになるのです。
未熟なまま角質層のトップに押し出されると、抵抗力が低くダメージを受けやすいので
それを感知したケラチノサイト(表皮の細胞)は「危険!助けなけらば!」と、
もっと角質層への細胞の送り出しを早めてしまうのです。
年齢的にポテンシャルとしては速度の遅いターンオーバーしかできないのに
角質層のダメージにより無理やりターンオーバーを早めている。
矛盾した状態で、自転車操業のように脆いもので無理がたたります。
表皮の基底層から顆粒層も弱ってしまい、シミやくすみ、跡が残りやすくなったりと
肌が弱ってしまうのです。
古い角質が肌に溜まってしまうため
消費期限の過ぎた食材をずっと放置していると悪くなりますよね。
同じように古い角質が剥がれ落ちず肌に溜まってしまうと、肌にとっては悪影響を及ぼします。
化粧水や美容液などによる栄養も毛穴の奥まで浸透しづらくなり、
表皮より深い真皮層の線維芽細胞が働くのを阻害してしまうリスクがあります。
土台が弱まると自ずとその上の表皮層のケラチノサイト(細胞)の活動も弱まります。
そうすると、ターンオーバーする力も弱まり、遅れてしまうのです。
ターンオーバーが早まるとどんな悪影響がある?
通常のターンオーバーは表皮層で14日ほどかけて角化(核をなくして角質化する)、
残りの14日ほどで、各層のさらに表面に出ていき剥がれ落ちます。
ターンオーバーが早まると、基底層〜顆粒層のステップでしっかり栄養をもらって育つ前に、無理やり角化してしまうということ。
つまり、未熟なまま表に出てきてしまいます。
角質層は表皮層の一番表側で外気にさらされるので、頑丈に育っていないと傷つきやすくなってしまいます。
主に角質層の一つ前の段階である顆粒層で保湿を機能を(セラミド、細胞間皮質、自然保湿因子のNMFなど)新たに蓄えるのですが、
ターンオーバーが短いと、これらの機能が十分整備されづらいので、保湿力が保てない角質になってしまい、
カラカラに乾いて、ガサガサしやすくなってしまいます。
ガサガサした角質は固くなりやすいです。つまり、正常に剥がれるための酵素も乏しく、はがれにくく肌表面に溜まってしまいます。それなのにターンオーバーは早いため、水面下ではどんどん未熟な細胞が角化されて、溜まっていきます。悪循環ですね。
ターンオーバーが早まる原因
主に、角質層を無理やり剥がしすぎてしまうのが原因です。
寿命を迎えて落ちるべき角質を落とすのは良いのですが、それだけでなく、その下のまだ残っているべき角質層も剥がしてしまうのが良くないのです。
その原因はだいたい想像つくと思いますが、下記の通り。
クレンジングでごしごし擦りすぎ
クレンジングで肌を擦りすぎると、若い角質まで取れてしまう恐れがあります。
また、界面活性剤など化学成分が多いものも、角質が落ちすぎてしまう原因です。
強すぎる洗顔で洗いすぎ
アルカリ性の洗顔は洗浄力が強いです。
特にアルカリ性が強く、分子が小さい海面活性剤が多く含まれていると、角質が剥がれ落ちやすくなってしまいます。
ひとつは、硫酸塩型の界面活性剤。
陰イオン界面活性剤に分類され、特に強いイオン化傾向で分子が小さいので洗浄力が高いです。
硫酸塩型の界面活性剤&それと同じ働きを持つ界面活性剤
ラウリル硫酸ナトリウム
ラウレス硫酸ナトリウム
ラウリル硫酸アンモニウム
ラウレス硫酸アンモニウム
オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム
もう一つは石けん。
石けんは、製作過程でアルカリ性の成分をたくさん化学反応させて作るため、陰イオン界面活性剤に分類されまます。
洗浄力が強く、要注意です。
高級脂肪酸(パルミチン酸、ミスチリン酸、ステアリン酸)を原料にした中和法と、
油脂(オリーブ油、大豆油、ヤシ油など)を原料にしたケン化法があり、
それぞれ、水酸化ナトリウムか水酸化カリウムを調合することで固形石鹸が出来上がります。
水酸化ナトリウムを加えて作った固形石鹸を「石ケン素地」、
水酸化カリウムを加えて作ったのを「カリ石ケン素地」と呼びます。
何が言いたいかというと、これだけ多種の作り方があるので、
成分表示にこれらの成分名が組み合わさって入ったものは洗浄力が高い可能性があるということです。
ピーリングを不必要に多用している
ピーリングも肌がぷるんと一皮むける期待が一般的イメージとしてあると思いますが、
敏感肌は特に、合う・合わないがあります。
また、敏感肌でなかったとしても、用法容量を守らないで多用すると、
取れてはいけない角質まで取れてしまい、ターンオーバーを早めてしまうのです。
紫外線を浴びすぎる
紫外線を浴びすぎると、肌細胞が「ここは危ない環境だ!」と信号を送り、
これ以上のダメージを抑えようと、肌表面のバリアを厚くしようとします。
そうして、角質を早く生成して分厚くしようとして、ターンオーバーを不必要に早めてしまうのです。
その他、ターンオーバーが乱れる原因
女性ホルモンの乱れ
女性は良く排卵前に肌がきれいになったり、生理前に荒れたりすることがあると思いますが、
それは、女性ホルモン(卵胞ホルモン)が影響しています。
ホルモンバランスが崩れると卵胞ホルモンが正常に働かなくなり、
ターンオーバーが乱れて早まったり遅れたりします。
極度のストレス
ストレスがたまると自律神経が乱れやすくなります。
自律神経の乱れはターンオーバーを招くので、ストレスは原因のひとつとして深刻です。
ストレスは上に述べた女性ホルモンの乱れにも影響するのでターンオーバーが乱れる可能性が高いのです。
ターンオーバーを正常化するには洗顔の見直し!?
よくターンオーバーが乱れる≒遅れると認識していることが多いと思いますが、
実は遅れるケースと、早まるケース、両方が存在しているのです。
そして、ターンオーバーが乱れて肌荒れする原因は、古い角質が肌に溜まっているためとよく言われますが、
だからと言って、洗浄しすぎるのも良くありません。
洗浄しすぎがもたらす罠として、ターンオーバーを早めてしまうリスクもあります。
そのため、大事なのは残して不要なものだけを落とすこと。
落とせないのはダメ、落としすぎるのもダメ、「落としすぎない洗浄力」が必要なのです。